日本語学習ブームのミャンマー、JLPT受験者数10万人か
今月ミャンマーで開かれるJLPT日本語検定の受験者数が過去最高となる事が期待されるなか、最近のアジア諸国の同受験者数から技能実習生や特定技能への関心の高さやマーケットの規模を紐解きます。
日本語学習者増加の背景
前回、各国で開催されたJLPT試験4級(2022年12月実施)の受験者数はミャンマーが28,726人で他国を大きく上回り、インドネシアの6.9倍、カンボジアの88倍、ベトナムの6.0倍となりました。これは東南アジア全体の63%を占めており、ミャンマーの実習生、特定技能への関心の高さが分かります。(※JLPT Webページのデータを引用)
背景に、クーデターによる国内経済の崩壊によるチャット(ミャンマーの通貨)の暴落、大学生たちが退学して日本行きを目指し始めていることや、信用できる送り出し機関が増えた事が影響しています。
チャットの暴落
日本の円安で実習生が稼げなくなったと一般的には言われていますが、ミャンマーのチャットの暴落は日本のそれ以上であり、以前のワーカーの基本給が日本円に換算すると15,000円ほどだったのに対し、今は7,000円となっています。仮に日本で手取りが11万円残るとすると賃金格差は16倍にもなり、これが日本へ行こうとする起爆剤になっています
大学生の退学
また、ミャンマーは大学の殆どが国立である為、大学=国=軍政と見なされ、さらには、今の崩壊社会の中で大学を卒業する意味を感じなくなり、大学を中退する者たちが増えました。一方、親も反軍政運動は大学の学生運動から始まることを不安視し、学校を行かないで国外に行かせる傾向が強くなりました。こういう大学生層が日本語を勉強し始めていることも影響しています。
信用できる送り出し機関の増加
さらに、以前は「日本には行きたいが騙される可能性がある」、というリスクに躊躇していましたが、最近は自分達の農村から少なくても誰かしらは日本に行って、成功例になっており、安心感が増しているのも日本行きを目指す人が多くなった要因です。
ミャンマー人の応募状況
弊社アンダマンエイトに於いても、弊社が実施する一次選考会待ちの人が3,000人以上おり、受付を一時的に停めている状態です。競争率が増す事で自然と「日本語4級修了、或いは、合格していないと面接に辿り着けない!」という結果となり、それが冒頭で述べた日本語試験の受験者数に反映しているのでしょう。
因みに、前々回のミャンマー実施JLPT(4級)の受験者数は8,792人、前回が28,726人と3倍以上に膨らんでおり、7月に実施する予定の受験者数はこれをさらに上回ると予想されています。結果的に建設など不人気職以外であれば面接の段階で4級合格者を揃える事は容易であり、実際に弊社には4級合格者の候補者が400人程(女性300名、男性100名)おります。
「人口」×「外へ出ようとする圧力」
今、日本の監理団体はベトナムの穴を埋める国を探していますが、その筆頭がインドネシアです。2億を超えるマーケットへ期待を寄せていると思いますが、人口だけでマーケットを測るのではなく、「人口」×「外へ出ようとする圧力」こそ、正しいマーケットの測り方ではないかと思います。
人口は5,400万人ですが、隣国タイに300万人以上、マレーシア、シンガポール、韓国にとどまらず、中東諸国へも出稼ぎに行っているミャンマーというマーケットを今一度見直して頂き、今後の人材不足への手掛かりにしては如何でしょうか。